ルースパーツとは?知育効果や遊び方・環境づくりのコツを解説!

記事内のリンクには広告を含みますが、ご紹介している書籍・おもちゃの感想は「好き」を大切に正直な気持ちを書いています。ぜひ最後までお楽しみください。
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本文は14984文字です。

子どもたちが大好きな小石や小枝、どんぐりの実などが世界の幼児教育の場で優れたおもちゃと考えられていることをご存知ですか?

これらはルースパーツと呼ばれ、未来を生き抜く非認知能力を伸ばすオープンエンドなおもちゃとして知られています。

しかし今のところ日本語の解説は少なく、なんとなく遊びに取り入れているだけのご家庭もあることでしょう。

この記事では、ルースパーツとは何かだけでなく、その知育効果、遊ぶときのポイントや環境づくりの注意点について参考書籍をもとに詳しく紹介します。

これを読めばルースパーツ遊びが充実すること間違いなし!

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  • ルースパーツ遊びではどんな知育効果が期待できるのか知りたい

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ルースパーツとは
ルースパーツの遊び方
ルースパーツの知育効果
遊ぶ環境の作り方
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おった @ottermom

子どもとおもちゃを愛する年子( 2歳女の子、1歳男の子)の母。

ヨーロッパを研究対象にする人文系研究者として、日本語では手に入れにくい欧米言語のおもちゃ情報も日本語に訳してご紹介しています。

幼児教育について提供する内容は書籍や公的機関の見解に基づきます。

YouTubeではKAPLAの遊び方を発信中。

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目次

ルースパーツとは

ルースパーツはオープンエンドトイの一種

ルースパーツは「さまざまな方法で使ったり扱ったりできるオープンエンドな物質」を指します。乳幼児を魅了し、特定の使い方に縛られないこと、持ち運びやすいことがその特徴です。

“Loose Parts”(ルースパーツ、あるいはルーズパーツ)は1971年にイギリスの建築家Simon Nicholsonによって作られた造語で、「さまざまな方法で使ったり扱ったりできるオープンエンドな物質(=オープンエンドトイ)」を指します。

ルースパーツ遊びには、ざっくりまとめると以下のようなメリットがあります。

  • さまざまな方法で子どもの触覚、聴覚、視覚、嗅覚を刺激する
  • 発達のレベルに応じて、同じ素材を違う方法で使うことができる
  • 身体の力をコントロールしたり、認識する上で重要な役割を果たす
  • 探索・検証・仮説・挑戦のプロセスから批判的思考や多様な思考が身につく

ルースパーツの種類と素材|お金をかけなくても集められる!

それでは、どんなものがルースパーツに分類されるのでしょうか?

ルースパーツは3種類に分けられます。

  • 外遊びで見つけられるような無料の素材・がらくた
  • 本来は捨てられるはずだった生活用品(別用途での再利用)
  • ディスカウントストアなどで売っている小物など

自然素材も、人工の素材・製品もルースパーツになり得るわけですね。

ここではいくつかルースパーツの具体例を挙げてみましょう。

素材具体的なルースパーツの例
木材小枝、糸巻き、モールディング、年輪
金属マッシャー、鍵、ブリキ缶
プラスチックコップ、チューブ、ボトルの蓋
ガラスシーグラス、容器
リボン、織物、タオル
新聞紙、箱、厚紙の芯
ゴム・シリコン調理器具、カップケーキの型、鍋敷き
その他自然由来の物質石、貝、種
ルースパーツになる素材と具体例

表を見ればお分かりのように、お金をかけなくてもたくさんの素材を集めることができます。

お子さんとルースパーツ探しの旅に出ても楽しそうですね。

自然物の採集の際には法律にも注意して!

よし、じゃあ今日は川に行ってたくさん石を取ってこよう!

採集活動は法律の範囲内で収めるように気をつけてくださいね!

日本でのルースパーツ集めには、3つの法律が絡んできます。

子どもは無邪気にたくさん集めてしまうので、大人がよく気をつけてあげてくださいね!

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安全性に配慮しよう

ルースパーツは、乳幼児に与えるおもちゃでありながら、さまざまな危険性をはらんでいます。

大人は子どもに与えるルースパーツをよく吟味し、安全な利用に努めなければなりません。

サイズ

ルースパーツには小さな部品もたくさんあるので、誤飲に注意してください。

3歳児が口を開けたときの最大口径は約39mm、喉の奥までは約51mmです。

わが家はおもちゃ情報を発信しているので市販の誤飲チェッカーを使っていますが、安くはないので万人にオススメはできません。

ご自宅で確認するときにはもっと簡単に、トイレットペーパーの芯に通るかどうかで判断すると良いと言われています。

とくに滑らかで丸い形状のものは誤飲しやすいので注意してくださいね!

2歳以上になると誤飲のリスクは少しずつ下がっていきますが、大人が目を離すと危険です。

誤飲の危険があるルースパーツは適齢期まで与えないようにした方がいいでしょう。

どうしても小さな部品を使わせたい場合には、目の届く範囲で触らせるようにしてくださいね。

年齢・遊び方に合わせたアイテムを揃える

ルースパーツは、年齢や遊び方に合わせたアイテムを揃えるようにしましょう。

乳児に与える場合は、赤ちゃんが触ったり口にしても安全なものを与えるようにします。

それに対して幼児に与える場合は、彼らの想像力を引き出すアイテムを与えてあげてください。

想像力を引き出すためには、環境づくりもとても大切な要素になります。

環境づくりについては後ほど解説しますね。

また、重さや硬さにも注意しましょう。

握力が十分に育っていない乳幼児が足に落としても危なくないか?

投げても他の人にケガをさせないか?

どんなものでも投げつけられたらケガをする危険性はありますが、大怪我につながるような鋭利なアイテムを避けるなどの対策は取っておきましょう。

有害物質を避ける

乳幼児は、ものの性質を調べるために口に入れることがあります。

そのため、有害物質は避けるように気をつけましょう。
例えば以下のようなものです。

素材含まれているものの例
バッテリー(蓄電池)、釣りのおもり
フタル酸エステル食品パッケージ、接着剤、洗剤、潤滑油、ヘアスプレー
ポリ塩化ビニルパイプ、ビニールハウス、ビニールレザー、クッション材、網戸、縄跳び用ロープ、消しゴム、レコード材
有害物質と含まれているものの例

衛生を保てるアイテムを選ぶ

ルースパーツには外で拾ってきたものや、使い古したものが含まれます。

乳幼児はルースパーツを口に入れますし、砂や泥と混ざることもあるでしょう。

そのため、できるだけ繰り返し洗えて衛生的に保てるものを選ぶことが望ましいです。

耐久性に注意する

これは、日用品をルースパーツとして再利用する際にとくに気をつけたいことです。

再利用品は、小さな部品が取り外せてしまわないか事前にチェックするようにしてください。

通常なら分解できないものでも、老朽化や壊れてしまっていたために小さな部品が取り外せてしまう可能性があります。

このようなものは誤飲事故につながる危険性があるので、定期的なメンテナンスが必要です。

また、ペンキやメッキが剥がれていないかも確認しましょう。

これも同じで、誤飲事故や有害物質の摂取につながる恐れがあります。

遊び方

子どもたちは、ルースパーツを使ってどのように遊ぶのでしょうか。

基本的には子どもの自由な想像力に任せて構いませんが、大人の役割はそれらの自由な活動を促す環境づくりにあります。

そのため、どのような遊び方をするのか、その傾向を知っておくことは有益です。

この記事の作成で参考にした書籍”Loose Parts 2: Inspiring Play with Infants and Toddlers“では、以下のような5つの遊び方が紹介されていました。

ものの性質を知る活動

はじめに子どもたちは、見る・触る・聴く・握るなど、五感を使ってものの性質を知ろうとします。

この活動は、その後のさまざまな遊びの展開の準備運動のようなものです。

いくつものものを使った探索活動

自分の目の前にある物体がどのような性質を持つものか理解できたら、子どもは数を増やして組み合わせることを楽しむようになります。

例えば積み木のように積んでみたり、倒したり。

バケツやカゴの中に入れたり、出したり。

繋げてみたり、分解してみたり。

並べたり、分類したり。

自分が調べているルースパーツが集合体になったらどのような性質を持つかを探索していきます。

道具としての探索活動

最初の「物体の性質を知る活動」でその物体を単体で使うことに価値を見出した子どもは、道具としての探索活動に入っていくかもしれません。

例えば、打ったり、叩いたり。

押したり、引いたり。

挟んだり。

ひねったり、回転させたり。

ルースパーツ遊びは、徐々に動きのある遊びへと変化していきます。

移動

ルースパーツ遊びは、室内で行われる手先を使う遊びに限りません。

子どもたちは全身を使ってルースパーツの性質を知り、遊びを発展させていきます。

人やものでバランスを取ることもあれば、その場で揺らしてみたり、投げたり、それらを移動させることもあるでしょう。

大きなルースパーツを前にして、登ったり、降りたりするのに使う子どももいます。

行動

さまざまなものの性質を探求した後は、総合的な活動として行動に移していきます。

例えば、人やものを水平・垂直・斜めの軌道で動かす活動をする子もいれば、

何かに見立て、ごっこ遊びを展開する子もいるでしょう。

ルースパーツを組み立てて作品を作る子もいます。

大人にできることは環境(舞台)を用意することだけ。

子どもたちは自分の好きなようにルースパーツを扱っていくので、その時間と発想を尊重してあげましょう。

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【詳しく知りたい人向け】ルースパーツの知育効果

ルースパーツ遊びは、非認知能力、認知能力、知覚・運動スキル、言語・コミュニケーション能力を育みます。

これまでに述べてきたような遊びを展開することで、子どもたちはどのような学びを得ていくのでしょうか。
ここでは少し掘り下げて見ていきましょう。

ルースパーツ遊びは、よくオープンエンドトイの例として紹介されます。

オープンエンドトイの特徴は、遊び方に正解がないところ。
近年では、非認知能力を育むおもちゃとして注目されています。

しかし、ルースパーツの持つ知育効果は非認知能力に留まらず、子どもたちの総合的な学びを支えるおもちゃであるということができます。

非認知能力(社会情動的スキル)

非認知能力は、簡単に言えば「自分を大切にし、自分を高めようとする力、周りの人とうまくやっていく力、自分の感情をうまくコントロールする力など、認知能力以外の心の力」のことです。

こちらの書籍では、非認知能力(または「社会情動的スキル」)は3つの枠組みから説明できると述べられています。

非認知能力3つの枠組み
非認知能力は相関する3つの枠組みで説明できる

情動を抑制し、「自分と向き合う力」:自己認識・自己調整

ルースパーツ遊びは、五感を使って自分の身体や能力、感情を理解することを促します。

また、物体の操作によって身体の機能を制御するとともに、強い感情をコントロールして集中力と注意力を維持する能力を高めてくれます。

子どもがルースパーツに興味を惹かれ、のめり込んでいるときは集中力を育むチャンスです。十分な時間をとってその活動をサポートしてあげましょう。

目標の達成に向かって「自分を高める力」:自信・自尊心

ルースパーツ遊びを通して、子どもは新しい技能を習得したり、成功体験を積み重ねたり、自分で設定した目的を達成したりすることができます。

これらの経験は、子供の自信や自尊心を高めることにつながります。

自信・自尊心を高めるポイントは、子ども自身に「選択」の機会を与えること。
遊び方を大人が指定しないように気をつけましょう。

「他者とつながる力」:社交性の発達

ルースパーツは基本的に同じものを複数個用意します。

そのため、子ども同士の争いを生みにくいおもちゃであるということができるのです。

さらに、遊び方に正解も間違いもないため、競争よりは協力を促すことができます。

「友達の遊び方は自分の遊び方とは違う」と認識する体験は、ものごとを多面的に捉える力をつけるチャンスにもなりますね。

ルースパーツ遊びは、周りの大人や他の子どもたちと健全な関係性を作り上げ、維持するのに役立つのです。

認知能力

認知能力は、簡単に言えば「読み書き計算など、「頭の良さ」や「IQ」で表現される心の力」のことです。

ルースパーツ遊びでは、予測・推理・質問・分析する能力が身につくと考えられています。

乳幼児は、ものの性質を探求したいという自然な欲求を持っており、ルースパーツにはその意欲を支える効果があるのです。

何を学ぶかよりは、どのように学ぶかの方が大切。

発達心理学者のピアジェによれば、子どもは直接体験から自分の知識を構築します。

だから大人が教えてあげるのではなく、子ども自身が予測・推理し、質問し、分析することで目の前にあるものの性質を知ることが大切なのです。

では、子どもは探求活動から何を学んでいるのでしょうか。

先にご紹介した”Loose Parts 2“では、6つの項目が挙げられていました。

ひとつずつ見ていきましょう。

因果関係

ルースパーツを使った探索活動は、無意識的な行動(偶然の気づき)から始まり、検証を通じて意識的な行動に移っていきます。

そのプロセスを通して、子どもたちは原因と結果の関係に気づく能力を身につけていくことができるのです。

分類

さまざまな素材を比較することで、子どもたちはどれとどれが「同じ」で、どれとどれが「違う」かに気づいていきます。

そうすると、今度は色や形、サイズ、素材、機能などによってそれらのルースパーツをカテゴライズしていくことでしょう。

これらのプロセスによって、ものを「分類する」力を身につけることができます。

系列

分類の先で、子どもたちは系列の考え方に出会います。

子どもたちは同じ分類のなかにも長さや重さなどに違いがあることに気づき、並べたり、積み上げたりするのです。

同じ素材を複数用意するからこそできる体験と言えますね。

幼少期の子どもたちは、モンテッソーリ教育でいうところの「秩序の敏感期」の真っ只中。

無造作に並んでいたものに自分自身の力で秩序を与える経験は、子どもの脳を育てるのにとても有効です。

経験や考えの表現

ルースパーツは、何にでも変化できるおもちゃです。

子どもたちはルースパーツを想像によって何かに見立て、形にしていくプロセスで、自分の知っている世界や経験したこと、考えたことを表現していく力をつけていきます。

量の概念

幼少期は、抽象的な概念である数字や単位を理解する前の段階にあたります。

この時期に数で表されない未測量の世界、つまり「大きさ・多さ・長さ・重さ」などの「量」を土台にして数の概念を楽しみながら学ぶことが、その後の算数・数学の理解を助けてくれます。

ルースパーツは、物を並べたり積んだり、入れたり捨てたりする活動を通して、量の概念を発達させてくれるのです。

空間関係

空間関係とは、物体が互いにどのように関連しているのか、そのつながりを理解・解釈する能力を指します。

ルースパーツ遊びは、①物と物だけでなく、②自分と物、③自分と他人との関係について理解を深めることを促します。

知覚・運動スキル

知覚・運動スキルというのは、目の前のものを認識し、運動につなげる能力のことです。

このスキルには、粗大運動スキル(身体全体を使った運動)、微細運動スキル(手や指を使った運動)、手と目の協応(目からの情報をもとに手を使う総合的な能力)の3つが含まれます。

ルースパーツを使った粗大運動スキルの例
  • 重い木を持ち上げる
  • ボールを追いかける
  • 丸太を飛び越える
  • 木の板を渡って歩く
  • 物を運ぶ
  • 水やものを入れたり捨てたりする
ルースパーツを使った微細運動スキルの例
  • 結び目のあるロープを掴む
  • 洗濯バサミを留める
  • 水を注ぐ
  • 持ち替える
  • 泥で作品をつくる

言語・コミュニケーションスキル

ルースパーツ遊びには言葉の発達や、言葉によるコミュニケーションを促す効果があります。

例えば、ものの名前、色、形、大きさ、質感、重さなど、遊びの対象物やその特徴を表す言葉を学ぶ機会になるため、語彙力が向上します。

また、幼児はものの性質を探求した結果発見したことや想像したものについて言葉で表現します。

大人は幼児をよく観察し、さまざまな質問や説明的な言葉を使って彼らの言葉を広げる手伝いをしてあげましょう。

そうすることで、幼児は自分の考えを伝える能力を育むことができるのです。

ルースパーツで遊ぶための環境づくり

ルースパーツとは何かを知らずとも、どんぐり拾いや砂遊びなどのルースパーツ遊びは多くのご家庭や保育園・幼稚園などで実践されていることでしょう。

しかし、ルースパーツ遊びに適した環境づくりができているご家庭は少ないのではないでしょうか。

子どもが遊びの世界に没入し、想像力を最大限に発揮するためには、ある程度の制約が必要です。
ルールがあるから自由に遊べると言っても過言ではありません。

そして親にできることはそのルールづくり、言い換えれば遊ぶための環境を作ってあげるだけで十分なのです。

以下では、ルースパーツで楽しく遊ぶ舞台を作るためのヒントをまとめました!

ルースパーツを集める際のポイント

  • 遊びながら変形させたり運んだりできるような、自由度の高いアイテムを取り入れる
  • 子どもがデザインしたり、組み立てたり、小道具にできるような面白い素材を取り入れる
  • 量は多すぎると刺激が強く、少なすぎると争いを生むので、監督者がちょうどいい塩梅を見つける
  • アイテムは奇数で用意する
  • さまざまな質感のアイテムを用意する

このなかで疑問に思うところがあるとすれば、4つ目の「アイテムは奇数で用意する」という点ではないでしょうか。

今回参考にした書籍では、「3または5つの容器のグループは、2または4つの容器のグループより視覚的に強かった」とだけ書かれていました。

ここからはわたしの予想でしかないのですが、2択より3択がいいのは組み合わせの選択肢が生まれるからだと思います。

また、心理学には「マジカルナンバー」という考え方があります。

これは人間が短期記憶に置いておける情報の数を指しており、かつては7±2個と考えられていましたが、2000年代になってからは4±1個と考えられるようになっているそうです。

つまり、人間が瞬時に記憶できる情報の限界は3〜5個。

そのため、選択肢もそのなかに収めてあげた方が子どもの脳に負担がかかりません。

少し調べてみましたが、4個より3または5個の選択肢が「視覚的に強くなる」理由はわかりませんでした。

ルースパーツを集めるときのポイントについては、もうひとつ覚えておいていただきたいことがあります。

ルースパーツ遊びにのりやテープは必要ありません!

ルースパーツは、何ものにもなれることが条件のひとつです。

積み木を作品にするために接着剤でくっつけないように、ルースパーツも接着した時点でルースパーツではなくなってしまいます。

工作とルースパーツ遊びは異なる遊びなので、オープンエンドに遊びたい時には接着剤の類は子どもの目の届かないところにしまっておくようにしてください。

ルースパーツを提供する場の工夫

ルースパーツ遊びの環境づくりは、3つの「場」を設定することから始まります。

子どもの遊び方は、大人がどのような環境を提供するかによって変わります。

だから環境づくりは大人に託されたとても大切な仕事なのです。

どのような場所で遊ぶか

室内で遊ぶか、屋外で遊ぶか

タイヤや丸太のような大きなルースパーツを使って全身を動かすような遊び方は、外でしかできません。

また、砂や泥、水を使った遊びも外ならではの遊び方です。

一方室内では、子どもの遊びは比較的おとなしいものになります。

平面に何かをデザインするときには、風雨の影響を受けない室内の方が楽しく取り組めるでしょう。

陳列棚を設置しやすいので、より多くのルースパーツを使った活動が可能になるのも室内です。

卓上で遊ぶか、床・地べたで遊ぶか

テーブルの上で遊ぶのか、床や地べたで遊ぶのかによっても子どもたちの遊びは変わっていきます。

詳しくは作業スペースのところで述べます。

どうやって陳列するか

ルースパーツ遊びで見逃されがちなのが、この陳列方法に関する点だと思います。

拾ってきた素材を、適当な箱や袋に入れていませんか?

次のイラストは、室内・卓上でルースパーツ遊びをすると仮定して、理想的な環境を描いたものです。

ルースパーツの陳列棚と作業台
ルースパーツは陳列棚に整然と並べ、作業台との間には距離をとることがポイント

子どもの自由な遊びを促すために、ルースパーツは秩序正しく陳列されることが望ましいのです。

陳列棚の並べ方には、5つのポイントがあります。

  • すべてのアイテムは子どもの手の届く範囲に置く
  • 一覧性を確保する(背の低いものは背の高いものの前に並べ、すべてのアイテムが見えるようにする)
  • 色・形・質感・パターン・デザインによってルースパーツを整理する
  • カゴや容器を使って整理し、秩序正しく並べる
  • 光・色・透明度の組み合わせで幼児の興味を惹く

最初の2点については、モンテッソーリ教育の教具棚の考え方に似ていることに気が付かれた方もいらっしゃるかもしれません。

3つ目からは少し補足説明が必要でしょう。

色・形・質感・パターン・デザインによって整理するのは、ルースパーツの知育効果で述べた「分類」の概念を子どもに身につけさせるチャンスでもあります。

そのため、初めは子どもと一緒に実践してみても良いと思います。

ですが、何度も同じことをさせる必要はありません。

子どもの遊びは発展していくので、新しい遊びに没頭できる時間を作ってあげた方が効果的です。

ここでは2回目以降、大人が分類して整理したという前提で陳列棚のポイントを解説します。

色・形・質感・パターン・デザインによって整理する、カゴや容器を使って秩序正しく並べるという2つのポイントを押さえて陳列棚を作るとどんなものになるかを考えてみました。

ルースパーツを陳列するときに気をつけたいポイントまとめ
陳列で気をつけたいポイント

ご自宅で実践する場合にはスペースの問題もあるでしょうし、必ずしもこの通りにする必要はないのですが、ルースパーツ遊びのイメージ作りをお手伝いできれば嬉しいです。

光・色・透明度の組み合わせで幼児の興味を惹くという点については、次の作業スペースの項目で解説しますね。

どのような作業スペースを設定するか

作業スペースのポイントは、「場を制限すること」に尽きます。

作業台を使う場合には、そのテーブル。

なお、作業台の素材によって子どもの遊び方は変わります。

例えばガラス天板のテーブルなら、子どもは下から覗き込んで遊べますよね。

床で遊ぶ場合には、ラグやマットなどを敷いてその上で遊ぶようにします。

また、ルースパーツを置いている場所と作業スペースの間はあまり近くなりすぎないように気をつけます。

移動もルースパーツ遊びの一部だからですね。

作業スペースでは「背景」を意識したいところです。

そこで使えるアイテムが、鏡・ガラス(あるいは透明の板)・ライト・布など。

作業台のポイント
作業台で使うと便利なもの

木製のテーブルだと下から覗き込むような遊び方はできませんが、アイテムを使うことで遊びを広げていくことができます。

例えば鏡を机の上に敷いてみる。あるいは立てて置いてみる。

角度を変えればアイテムの数も変わるので、子どもは夢中で鏡を覗き込みます。

万華鏡のようなイメージです。

ちなみに、敷いた状態だとこのように不思議な世界観を楽しむことができます。

アーチレインボーと鏡
グリムス社のアーチレインボーを鏡の上に並べてみた

この写真で使っているグリムス社のアーチレインボーは半円形の積み木なので、それを鏡の上に並べると円形に見えます。

ただ鏡の上に並べただけ、置いただけで浮遊感のある作品ができるので、大人も子どもも夢中になれますよ。

鏡は割れる心配のいらないアクリル製がオススメです。

わが家が使っているのは、積み木で有名な童具館の「ビッグわくわくミラー」。

アクリルミラーなので割れる心配がほとんどいらない上、2つ折りにできるので立てることも容易です。

ミラーは36cm四方のものが2枚ついているので、広げて使えば作業スペースとしても十分な広さが確保できますよ。

モンテッソーリ教育でも、0歳児から鏡を見せることがオススメされています。鏡の知育効果はあなどれません!

また、光を使った作業スペース作りも幻想的な世界観を演出してくれます。

例えば、絵を描くときに使うライトテーブルというトレース台を使えば、下から広い範囲で光を灯せます。

わが家は娘が0歳のときランタンもライトテーブルも持っていなかったので、絵本ライトを使って遊びました。

積み木とライト
絵本ライトの光が積み木の隙間からこぼれてくる様子に興味津々の娘(0歳)

写真は、積み木を隙間ができるように並べ、絵本ライトで中から照らした様子です。

こぼれてくる光に興味津々で、じっと眺めていました。

半透明のルースパーツなどを組み合わせれば、さらに幻想的な空間を演出できるでしょう。

最後に、布の利用について。

布にはさまざまな種類がありますね。フェルト、タオル地、シルク、ベルベットなど……

子どもはその素材感の違いを楽しむのですが、布は舞台背景としてもとても優秀です。

広げるだけで目の前に広がる景色を一変させてくれるところが魅力ですね。

色遊びを楽しむのにぜひ取り入れたいところです。

100均でさまざまな布が手に入るので、探しに行ってみてください。

ただし、シルクは高級品なので100均では手に入りません。

それでも柔らかで滑らかな触感のシルクはぜひルースパーツとして取り入れて欲しいもの。

サラズシルクという会社が、遊び用のプレイシルクを販売しています。

このプレイシルクはシュタイナー教育に影響を受けており、自然をイメージした染色が特徴的です。

そのため、外で拾ってきた自然由来のルースパーツとも違和感なく遊べると思いますよ。

まとめ

この記事では、ルースパーツとは何かに始まり、遊び方や知育効果、大人がやってあげたい環境づくりについて解説しました。

ルースパーツ遊びに含まれる範囲は非常に広く、まるで子どもの遊びのほとんどを網羅しているかのようです。

お金をかけずに集められるところも魅力ですね。

ぜひ、お子さんとお散歩やお店でルースパーツ探しをしたり、それを使った遊びをしてみてください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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