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こんにちは、おぅたです。
- 誤飲の心配が減ってきた子どもがいる
- おままごとの食材というと、野菜など具体的なかたちをしたものしか知らない
- おままごと遊びを子どもの発達支援に役立てたい
- 子どもと一緒に遊べる・片付ける時間がを取れる
男女問わず子どもたちの大好きなあそび、おままごと。
当サイトでは、おままごとに関するさまざまな情報をご提供しています。(おままごとに関する記事の一覧)
この記事では、「抽象的なかたちをした具材」の魅力に迫ります。
誤飲の心配が減ってきて、細かいおもちゃを扱えるようになる2〜3歳は、発達から見ても「見立てる力」が育ってくる時期。
その頃からは、「にんじん」や「トマト」のような、具体的なかたちの具材より抽象的なかたちをした具材の方がおままごと遊びで好まれるようになっていきます。
この記事では、
- 抽象的なかたちをした具材は、どんな風におままごと遊びを楽しくするのか?
- どんなメリットやデメリットがあるのか?
について解説しますので、よろしければおままごと遊びの参考にしてみてください。
子どもとおもちゃを愛する年子( 2歳女の子、1歳男の子)の母。
ヨーロッパを研究対象にする人文系研究者として、日本語では手に入れにくい欧米言語のおもちゃ情報も日本語に訳してご紹介しています。
幼児教育について提供する内容は書籍や公的機関の見解に基づきます。
YouTubeではKAPLAの遊び方を発信中。
抽象的なかたちをした食材・具材って?
はじめに、抽象的なかたちをした具材について解説します。
サラダを作ってみよう
こちらの写真をご覧ください。
左の具体的なかたちをした具材は、よく「おままごとセット」として売られているものですよね。
もちろん、具体的なかたちにも誤飲を防げる・食育や知育ができるなどのメリットがあります。
ですが、現実の料理に近いものというと、どちらになるでしょうか。
左の写真は、煮物としてなら良いかもしれませんね。
煮物は食材の形をそのまま残しているので、そのような料理としては年齢が上がっても楽しく作ることができるでしょう。
では、サラダとしては?
子どもたちの多くが写真を見て、
あ!サラダがある!
と思うのは右ではないでしょうか。
右は、Grapat(グラパット)のまんだらシリーズから、「ツリー」という商品を菜葉として使い、「レインボーエッグ」のオレンジをニンジンに見立てて乗せました。
最後に、色味を足すためにベリ・デザインのウッドビーズを散らして仕上げています。
これらはどれもオープンエンドトイと呼ばれる遊びの決まっていないおもちゃですので、今回はたまたまサラダだっただけで、他のものに見立てることもできます。
カレーライスを作ってみよう
もうひとつ例を挙げましょう。カレーライスはどうでしょうか?
市販品ではカレールウが売られていますね。
調理の工程としては素晴らしい商品だと思いますが、鍋のなかで混ぜにくいですし、できあがったものを取り分け、カレーライスとして食べるにはかなりの想像力が必要だと思います。
もちろん子どもたちの想像力はすごいので、できないことはありませんよ。
そもそもこれだけではカレー皿に入れるためのライスが足りないですよね。
でもこの場に、白い花はじきがあったら?
人数分に取り分けられるライスができました!
これに先ほど作った具体的な具材を乗せたら、少しはカレーライスらしくなるでしょうか。
こうなってくると、
カレールーももっと本物らしいものが作れないかな?
と思えてきませんか?
ここに例えばカラーの花はじきやチェーンリング、Grapat(グラパット)のまんだらという商品などを使えば、その理想を叶えることができるかもしれません。
このように、抽象的なかたちの具材があれば仕上がりだけでなく、調理の過程や食べるふりもよりリアルに楽しむことができるようになります。
さまざまな具材は既製品のおもちゃを買わずにハンドメイドもできるので、親子で工夫してみても面白いかもしれませんね。
抽象的なかたちをした具材のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
リアルな食事が作れる 小さな鍋でも混ぜやすく、お皿に盛り付けやすい 手先をたくさん使う練習ができる 構成遊びなど、他の遊びにも使える | いろいろ集めるのが大変かも 片付けには覚悟が必要 誤飲に注意 |
メリット① リアルな食事が作れる
上で紹介したように、抽象的なかたちをした具材の多くは細かなアイテムなので、液体や細かく切った後の料理をリアルに再現するのに向いています。
ポイントは色。
色さえなんとなく現実の食材を想像させるものであれば、子どもたちは上手に再現していくことでしょう。
もちろん、子どもたちは「入れる」「混ぜる」などの活動そのものも大好きです。
そのため、色はごちゃ混ぜで名前のない料理を作ることもあるでしょう。
それでいいのです。人間の脳は楽しいことが大好き。
リアルなものも、雑多なものも作れる。
「何を作れるか」よりも「子どもの言うことを聞いてくれる」おもちゃであることが何よりも大切で、子どもが真剣な顔や笑顔を見せてくれれば大成功。
そこから子どもたちはたくさんの生活知識を学び、身体の操作能力も脳も成長していくのです。
メリット② 小さな鍋でも混ぜやすく、お皿に盛り付けやすい
パーツが細かいということは、おままごと用の小さな鍋やフライパンのなかで混ぜやすいということでもあります。
おままごとに使われる調理器具は、基本的に子どもサイズの小さなものです。
そのなかに具体的なかたちをした具材を入れようとすると、2つ3つ入れたらもう満杯。
おたまを入れて混ぜようとしても、その行動は「混ぜる」というより「回す」ということになりがちです。
これに対して小さなパーツなら、文字通り「混ぜる」ことができるのです。
また、アイテムの細かさは、小さなお皿に盛り付けやすいというメリットにもつながりますね。
何人いても取り分けられるので、複数人で遊んでもストレスになりません。
メリット③ 【発達の手助け】手先をたくさん使う練習ができる
発達の面から見ても、手先をたくさん使う練習ができるというメリットがあります。
「指は突出した脳」と言われるように、脳の発達のためには三本指(親指、人差し指、中指)をたくさん使うことが大切です。
抽象的な具材は拾い上げるたびにこの三本指を使うので、遊びのなかで脳をたくさん鍛えられるのです。
また、「手と目の協応」「集中力」という点でもプラスになります。
目でよく見ないと、小さなアイテムは手に取れません。
机の上にバラバラの花はじきやチェーンリングが置かれているようすを想像してください。
このように薄いアイテムを拾い上げるのは、子どもにとって簡単な操作ではありません。
よく見ながら、集中して指を動かして拾い上げることになります。
子どもが集中して口を尖らせていたら、手を出さずにじっと見守ってあげてくださいね。
メリット④ 構成遊びなど、他の遊びにも使える
さらに嬉しいことに、抽象的なかたちをした具材はおままごと以外の遊びにも活用できるというメリットがあります。
例えばプラステンやリングテンは知育玩具(発達を支援するおもちゃ)として人気があります。
これらは色を見分ける・棒に通す・紐に通すなど、さまざまな遊び方ができることが特徴です。
各色10個ずつあるので、年齢が大きくなれば10の概念を理解するのにも役立ちます。
その上、おままごとの具材としてもとても優秀なのです。
プラステンとリングテンの素晴らしいところは、口には入るものの、誤飲はしない絶妙なサイズというところ!
どちらも日本やヨーロッパの安全基準を満たしているので、塗料や耐久性にも問題ありません。
赤ちゃんから長く使えるので、出産祝いや1歳の誕生日・クリスマスプレゼントとしても人気があります。
他にも、別記事で詳しく紹介しますが、グラパットは積み木遊びの装飾としても使いやすいですし、まんだらで絵を描く平面構成の遊びとしても使えます。
チェーンリングやウッドビーズはアクセサリー作りにも使えますよね。
抽象的なかたちの具材の多くはルースパーツと言われるオープンエンドトイの一種なので、遊び方は無限です。
子どもの想像力や創造力をいかんなく発揮できるおもちゃですので、おままごとのためだけでなく、ぜひ取り入れていただきたいと思っています。
デメリット① いろいろ集めるのが大変かも
しかし、デメリットもあります。
抽象的なかたちの具材には、具体的なかたちの具材のようなセット売りがありません。
花はじき、チェーンリング、ひも、毛糸……というように、いろいろなものを買い揃えてあげる必要があります。
デメリット② 片付けには覚悟が必要
ここまで読まれた方は、
これって片付けがめちゃくちゃ大変なんじゃ……?
と思われたかもしれませんね。
残念ながら、大正解です。
子どもが全力で遊べる環境というのは、大人にとって必ずしも都合のいい環境ではありません。
大人の健康と笑顔も、子どもたちの心身の健やかな成長にとってとても大切なものです。
当サイトでは子どもが全力で楽しめる経験を得られるようなおもちゃや遊び方をオススメしていますが、子どものために大人が「犠牲」になることは望んでいません。
ですから、多忙や片付けが苦手で、どうしてもその細かいアイテムの片付けを子どもと一緒にする時間が取れない・する気になれないご家庭に、細かいおもちゃはオススメできません。
そういったご家庭には、抽象的なかたちの具材として、色がついているだけで無地のお手玉や、ひも・毛糸、チェーンリングをつなぎ合わせた状態で使うことをオススメします。
それくらいなら散らばらないし混ざり合わないので、片付けもそれほど大変にはならないと思いますよ。
写真の右は緑のチェーンリングをつなぎ合わせた野菜(きゅうりやほうれん草などになります)と、上でも出てきた白い花はじき&チェーンリングを組み合わせた白米ですね。
デメリット③ 誤飲に注意
抽象的なかたちの具材は誤飲の心配が減ってきてから取り入れていただきたいところですが、年齢が上がったからといって誤飲の危険性がゼロになるわけではありません。
ですので、言ってわかる年齢であればきちんと説明しておくことが大切でしょうし、幼い子であれば保護者が近くで見守ってあげることが必要です。
また、注意したいのは弟や妹の存在。
下の子が誤飲しやすい年齢というのもよくあることです。
そういったご家庭では、遊ぶ部屋を分ける・スペースを区切るなどの工夫が必要になるでしょう。
まとめ
この記事では、抽象的なかたちの具材をおままごとで使うメリットとデメリットについて解説しました。
もう一度ここでまとめておきますね。
メリット | デメリット |
---|---|
リアルな食事が作れる 小さな鍋でも混ぜやすく、お皿に盛り付けやすい 手先をたくさん使う練習ができる 構成遊びなど、他の遊びにも使える | いろいろ集めるのが大変かも 片付けには覚悟が必要 誤飲に注意 |
乳幼児期の子どもたちは、遊びから人生を生き抜く力を身につけていきます。
遊び方の決まっていない抽象的なかたちの具材は、子どもたちの遊びの幅を飛躍的に広げます。
ですから、誤飲の心配が減ってきたら抽象的なかたちの具材をおままごと遊びに取り入れることをぜひ検討してみてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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