非認知能力を鍛えるなら積み木遊びが最適!その理由を解説します

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非認知能力を鍛えたいなら積み木遊びが最適!

この記事は約15分で読めます。
本文は8999文字です。

こんにちは、積み木と幼児教育論が大好きな二児の母、おったです。

AIが急速に発達している現在、教育界では「非認知能力」がトレンドになっていますね。

この記事が目に留まったということは、非認知能力が大事だということはわかるけれど、定義がぼんやりしているせいで子どものために具体的に何をすればいいか迷っていらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、

非認知能力を鍛えるといいって聞いたけど、どんな風に鍛えればいいんだろう?

子どもには積み木遊びがいいと聞いたけれど、どんな風にいいのか知りたいなぁ…

という方に向けて、専門書を参考にしながら、非認知能力を育てるおもちゃの代表格である積み木遊びの教育効果について図解でできるだけわかりやすく解説していきます。

この記事を読んで積み木遊びに興味を持たれた方におすすめの参考文献はこちらです。

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この記事はこんな人にオススメ
  • 非認知能力の具体的な例が知りたい
  • 積み木遊びのメリットが知りたい
  • 子どもに積み木を買ってあげるか迷っている
この記事の著者
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おった @ottermom

子どもとおもちゃを愛する年子( 2歳女の子、1歳男の子)の母。

ヨーロッパを研究対象にする人文系研究者として、日本語では手に入れにくい欧米言語のおもちゃ情報も日本語に訳してご紹介しています。

幼児教育について提供する内容は書籍や公的機関の見解に基づきます。

YouTubeではKAPLAの遊び方を発信中。

目次

積み木遊びは「非認知能力」を鍛えるオープンエンドトイ

あなたは、積み木遊びという言葉からどんなものを想像しますか?

箱に入った1セットの積み木を取り出して、お城とか作って遊ぶんでしょ?

というイメージをお持ちの方は、ぜひこの機会に積み木遊びの奥深さに触れてみてくださいね。

積み木は多様な遊びに活用できるオープンエンドトイ

積み木遊びの基本は、「並べる」「積む」という作業を繰り返すこと。

ですが、その遊びは「機能遊び」「模倣遊び(見立て遊び・ごっこ遊び)」「構成遊び」など、幅広く展開していくことができます。

感覚遊びの例にジャンプ
模倣遊び・構成遊びの例にジャンプ

このように、遊び方が決まっていない(=たくさんの遊び方ができる)おもちゃのことを、オープンエンドトイと言います。

世界の幼児教育の多くでオープンエンドトイのメリットが指摘されており、積み木はその代表格なのです。

オープンエンドトイが重視される理由のひとつは、子どもの主体的な遊びを促すから。

積み木は、子どもからの働きかけがあってはじめて変化が生まれ、遊びを広げていくことのできる道具なのです。

主体的な働きかけがなければ、抽象的な形をした単なる木片でしかありません。

そしてこの「子ども主体の遊び」は、乳幼児の非認知能力を育てる上でとても大切なのです。

非認知能力はテストなどで数値化できない能力を広く指す用語です。

就学前の乳幼児期に鍛えるべき能力と考えられており、学力などの認知能力の向上にも役立つことがわかっています。

ただ、ひとくちに「非認知能力」といっても、そこに含まれる能力はさまざま。

ですから、この記事では積み木遊びに絞って具体的にみていくことにしましょう。

積み木遊びで身につく非認知能力にはどんなものがある?

非認知能力は、大きく3つに分けることができます。

  • 自分を高める力
  • 自分と向き合う力
  • 他者とつながる力

積み木遊びは、このすべてをバランスよく鍛えることのできる理想的な遊びです。

それでいて、心身の発達にも寄り添うことのできる万能性を持っています。
(発達に沿った積み木遊びについては、別の記事でまとめる予定です)

積み木遊びで身につく非認知能力(この記事で解説するもの)をまとめた図は、以下になります。

積み木で身につく非認知能力の一覧
積み木で鍛えられる非認知能力はたくさんあります

【遊びの種類別】積み木の教育効果は?

遊びの種類については、さまざまな研究による分類があります。

ここでは乳幼児の心理的機能面に注目したカール・ビューラーによる遊びの分類を参考に、遊びの種類別に積み木遊びで伸ばせる非認知能力についてまとめた後、どの遊びでも共通して伸ばせる非認知能力について解説していきます。

ビューラーによると、乳幼児の遊びは5種類に分けられるそうです。

  • 感覚遊び(機能遊び)
  • 運動遊び(走る/投げる)
  • 模倣遊び(想像/ごっこ遊び)
  • 構成遊び(想像遊び)
  • 受容遊び(動植物・絵本)

このうち積み木は感覚遊び、模倣遊び、構成遊びの側面を持っています。

感覚遊び(機能遊び)

感覚遊び(機能遊び)とは、五感を使って物の性質を探究したり、物を介して自分の心と身体の機能(能力)を高める遊びのことを指します。

油断すると崩れてしまうかもしれない積み木素材で繰り返し遊ぶ経験は、乳幼児の発達にとって大切な機能練習・操作練習の機会になるのです。

このような機能練習・操作練習によって身につく非認知能力には、以下のようなものがあります(機能的発達)。

  • 手先を操作する力(「目と手の協応」といいます)
  • 身体全体での空間認知力
  • 集中する力
  • モノとモノの関係を理解する力(論理数学的知識の獲得)
  • 物事の原因と結果を知る力(物理的知識の獲得)

これらはすべて非認知能力では「自分を高める力」に分類されます。

世界のさまざまな幼児教育論で、子どもの頃の体験は直接的なものが良いと言われています。

子どもは遊びのなかから物理的知識や論理数学的知識を手に入れていくため、「積み木が崩れた」→「丁寧にまっすぐ積めば崩れない」というように、行動(原因)と法則(結果)が直接結びつくことが大切なのです。

乳幼児期の遊びに積み木はぴったり
乳幼児期の遊びでは、直接の経験が大きな学びになる

そして丁寧にまっすぐ積むということを意識した子どもは、より高いレベルで手先を操作し、集中して同じ作業に取り組むことになります。

この繰り返しの行動も乳幼児の遊びにおいてとても大切。

彼らは何度も失敗し、その都度自分の心の中のモヤモヤやイライラと向き合いながら、目標の達成に向けて努力していきます。

これは非認知能力でいうところの「自分と向き合う力」を高める訓練になります。

「やめてしまいたい」「なんでできないんだ」という感情や情動を抑えることを学んでいくのですね。

そしてそんな葛藤を乗り越えてひとつの課題を(ときには何度も)クリアした達成感が自信につながり、子どもの自己肯定感を高めます。

笑顔でガッツポーズをする女の子

この「達成感」「自信」「自己肯定感」は非認知能力のなかの「自分を高める力」にあたるもの。

積み木を「並べる」「積む」という行動そのものが、非認知能力を大きく育ててくれることがわかりますね。

模倣遊び・構成遊び

続いて、より高次の積み木遊びである「積んだ・並べたもので遊ぶ」遊び方の教育効果をご紹介します。

子どもの遊びは物の性質を五感で学ぶ遊び(感覚遊び)から始まり、その後物を道具として使った遊び(模倣遊び・構成遊び)へと発展していきます。

模倣遊びは、友達や大人の作ったものを真似したり、現実世界で見たもの・感じたものを形にする遊びのことです。

ですから、見立て遊びやごっこ遊びは模倣遊びに含まれます。

これに対して構成遊びは、バラバラに分かれたパーツで何かを作ったり壊したりする遊びのことです。

平面構成と立体構成の2種類があります。

積み木にあまり詳しくない人が積み木に抱くイメージは、言うなれば「立体構成のおもちゃ」でしょうか。

子どもの遊びは模倣と構成を行き来するため、模倣遊びと構成遊びの境界はあいまいです。

  • 誰かの真似をして何か作っていたら、別の何かに見えてきて全然違う作品が出来上がった。
  • バランスよく積んでいったら実在の建物に見えてきたから図鑑を持ってきてそれを形にした。

このようなことが子どもの遊びではよく起こるからです。

ですから、ここでは積み木を使った模倣遊びと構成遊びがもたらす教育効果をまとめて扱います。

見立てと模倣を楽しむ

鏡餅
カプラで作った鏡餅

子どもたちは、積み木で作ったものに名前をつけることで何かに見立てたり、友達の作ったものを模倣したりします。

たまに、はじめから作品を作って遊べる子もいますが、そういう子は遊ぶ力がすでに身についている子です。

ここでいう遊ぶ力とは、以下のような非認知能力を指します。

  • 構成する力
  • 模倣する力

これらは「ものごとに取り組む力」を伸ばすことになるので、非認知能力の分類で言うと「自分を高める力」の一部になります。

子どもが積み木を前に「何を作っていいかわからない」という顔をしていたら、最初はまわりの人が遊び方を教えてあげるのが良いでしょう。

当サイトでは、カプラをはじめ積み木のアイデアをこれからもたくさんご紹介していく予定です。

もし大人の方で遊び方に困っていたら、当サイトの積み木記事を参考にしてみてくださいね。

現実世界・空想世界と積み木遊びのリンクを楽しむ

積み木を通して見立て・模倣遊びの経験を積んでいけば、子どもは次第に世の中にある様々なものに興味を持ち、自分の体験と記憶を積み木で再現するようになります。

積み木のドールハウスで遊ぶ1歳児
積み木のドールハウスで遊んだよ

わが家の場合、1歳半の娘はまだ自分で組み立てることはできないので親が舞台を作って遊んでいます。

3歳未満の子(誤飲の危険性がある子)が小さなおもちゃを使って遊ぶときは絶対に目を離さない&散らばったパーツは必ずその都度拾ってくださいね!

人形や円柱の積み木を人に見立て、階段を一段ずつ登らせたり、ウッドビーズのプール(お風呂)に入らせたりと、現実の世界とのリンクを楽しんでいました。

子どもが成長していけば、現実世界だけでなく、空想の世界も作り上げられるようになっていきます。

そうすると、以下のような非認知能力が育っていくことでしょう。

  • 想像する力
  • 再現・創造する力

これらも「ものごとに取り組む力」の一部ですから、非認知能力の区分では「自分を高める力」に含まれます。

【集団積み木】現実と空想の行き来を楽しむ

ジオラマの街並み

子どもたちは遊びに慣れてくると見立ての想像を膨らませ、現実と空想の世界を行き来するようになります。

積み方に工夫を重ねて冷静に「作品」を仕上げたあと、その世界の中で友だちとイメージを共有し、役割を分担してごっこ遊びを楽しむのです。

友だちと一緒に作品をつくり、仕上がった世界のイメージを共有するためには、言語によるコミュニケーションが必要になります。

誰がどの部分を作るか決めたり、協力関係を構築したり、役割を決めてごっこのやりとりをしたりするなかで、言語能力や協調性を身につけていきます。

ここでは「友だち」と表現しましたが、もちろん相手は保護者や保育者、地域の大人でも構いません。

このような集団積み木遊びによって育つ非認知能力は以下のようなものです。

  • 共感する力
  • 言語能力
  • 協調性

これらは非認知能力の区分では「他者とつながる力」に含まれます。

現代の保護者は共働きも多く、おうちで複数人で遊ぶことは難しいかもしれませんが、そこは心配ご無用です。

積み木がない幼稚園・保育園はほとんどありません!

積み木遊びを家でたくさん繰り返して遊ぶ力を身につけた子は、保育施設で集団積み木の経験を十分に積めることでしょう。

ですからこれらの非認知能力の育成は、家庭で難しければ幼稚園や保育園に丸投げしてしまえばいいのです。

ただし日本の場合は集団保育が基本ですから、このような施設での遊び時間は限られたもの。

子どもたちは幼稚園や保育園、児童館では心ゆくまで積み木に没頭する経験ができません

ですから、家でこそ良質な積み木で子ども自身が満足するまで遊ばせる経験が大切になるのですね。

また、集団での活動は子どもの希望をすべては叶えられないかもしれません。

そのストレスと向き合う経験は、以下のような非認知能力を伸ばします。

  • 自分の感情や欲望を抑える力

これは非認知能力の区分では「自分と向き合う力」にあたります。

どの種類の遊びにも共通する教育効果

最後に、感覚遊び・模倣遊び・構成遊びのすべてに共通する教育効果を取り上げます。

小さな成功体験を積み上げることができる

どの遊び方をとっても、積み木遊びでは、想像を形にする作業のなかで問題を解決し達成感を獲得する経験がたくさん得られます。

小さな成功体験を積み上げていくことで、自信と自己肯定感が育まれるのです。

ですから、以下のような非認知能力が鍛えられます。

  • 問題解決能力
  • 自信
  • 自己肯定感の向上

非認知能力の区分に照らし合わせると、これらは「自分を高める力」にあたります。

自分が生きている環境と社会について学べる

さらに、積み木遊びでは自分が生きている環境と社会を知る経験が得られます。

これは遊びの種類ごとに段階があります。

まず感覚遊びの段階。

積み木遊びでは「繰り返し積む」「同じ形の積み木を秩序正しく同じ間隔で積む」ことが求められます。

このような積み木の操作を繰り返す中で、子どもたちは数的概念、量的概念、物理的概念を体得していくのです。

例えば「同じ高さに積む」という操作では、秩序感覚を持って積み木の個数や長さを調整していく必要がある上、平衡感覚を使ってバランスをとる力も必要になります。

さらに、積み木は重力に反して積むことはできないので、安定して積むためには重力をはじめとした物理法則を意識することになるのです。

次に模倣遊び・構成遊びの段階。

子どもたちが作り上げた積み木の世界のなかで遊ぶためには、物事や社会の仕組みを知り、応用する力が必要です。

例えば動物園を再現するとき、ただ見たものを再現するだけでは遊べません。

遊びを展開していくためには、現実の体験や図鑑や写真、絵本から動物の習性を学び、遊びのなかに落とし込んでいくことが必要になります。

これらを非認知能力という観点からまとめると、さまざまな「自分を高める力」を身につける機会になると言えるでしょう。

  • 数的概念・量的概念・物理的概念の体得
  • 秩序感覚・平衡感覚の体得
  • 現実の体験や資料から学びとり、遊びに落とし込む力

ここでわたしが「体得」と書いているのは、乳幼児に抽象的な「数」や「文字」を教える必要はないと言われているためです。

つまり、乳幼児期の積み木では概念を身体で知ることに集中してほしいのです。

なんとなく感覚的にわかっていれば、小学校に上がってから抽象的な数字や方程式などを提示されても経験に基づいて理解できるようになります。

どんな知識も、脳と身体が結びついて深く理解していれば忘れにくいものです。

「後伸びする子」を育てたいなら、早くから数字を教えるよりたくさんの積み木遊びでさまざまな概念を身体に覚えさせてあげましょう。

積み木遊びでは美的感覚も磨かれる

白木の積み木とカラーの装飾積み木で作ったドールハウスを正面から見た写真

積み木遊びでは、さまざまな作品が生まれます。

その完成した作品の美しさや左右対称性、(時にはアクセントとして加えられた積み木や装飾物の)鮮やかな色や形によって美的感覚が磨かれていくことでしょう。

これも数値化しにくい力で、非認知能力の「自分を高める力」に分類されます。

  • 美的感覚

まとめ

この記事では、積み木で鍛えられる非認知能力について保育理論に基づいて解説してきました。

紹介したさまざまな力をまとめた図をここに再掲しておきます。

積み木で身につく非認知能力の一覧

これらを総合して考えると、積み木は

  • 発達に合わせた遊び方ができて
  • 非認知能力がバランスよく身について
  • 乳幼児期の遊びの種類を幅広くカバーする

とても優秀な遊びだということができます。

積み木が子どもの遊び・非認知能力を鍛えるおもちゃの代表格とされているのも納得ですね。

積み木は子どもの遊びの中心にあり、お金をかける価値のあるおもちゃです。

保護者の方には、数あるおもちゃのなかでも、積み木は本気で選んでいただければと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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